日々小論

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 先週この欄で、東京五輪をどうするかの結論を待たずに聖火リレーを始めるなんて、と書いたら、その日のうちに五輪の延期と聖火リレーの中止が決まっていた。これが「英断」かどうかは分からないが、新型コロナウイルスの猛威がやまない中、やむを得ない選択だと思う。

 4年間、この舞台を目指して厳しい練習を重ねてきた選手たちの不安や落胆はさぞや、と思っていたら、前向きで冷静なコメントが目立つのには驚いた。

 「成長するための時間をもらった」「やることは変わらない」と。モチベーションの維持やピークの再調整はトップ選手にも難しいだろう。それでも感情に任せて不満をぶつけたりしない。これが世界で戦う人たちの精神力かと感服する。

 五輪史上初の延期には多くの課題が伴う。特に感染の終息が最大の難関となる。安倍晋三首相が「人類がウイルスに打ち勝つ証しとして、完全な形で実現する」と意気込むのも分からないではない。

 でも忘れないでほしい。東京招致の理念に「復興五輪」を掲げたことを。1年後は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年の節目でもある。真の復興への「時間をもらった」と受け止め、先送りしてきた課題に力を尽くしてほしい。自信を持って「TOHOKU2021」を発信できるように。

 聖火は「希望の象徴」として日本に残り、福島県内で当面保管されるそうだ。地元ではリレーの出発地点だったJヴィレッジなどで展示する構想もあるという。訪れた人は、津波と原発事故の複合災害がもたらす影響の大きさと復興への歩みも実感するだろう。再出発の日まで「復興の火」として被災地にともり続けてほしい。

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