日々小論

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 やっと全国で緊急事態宣言が解除された。欧米でも社会活動が再開し、人々は新型コロナウイルスの第2波に警戒しつつ日常を取り戻し始めている…。

 というのは、あくまで先進国の話。アジアや南米、アフリカでは死者も感染者も急増している。医療施設や上下水道は整わず、住環境は「3密」そのもの。感染爆発が起こる条件が新興国や発展途上国にそろう。

 損得抜きに各国が支援するべきだが、日本は2021年の東京五輪を確実に開くために、あえてそろばんをはじきたい。

 ワクチンや特効薬の開発が間に合えば大丈夫と、政府は楽観視している。しかし途上国まで行き渡るのはいつのことか。苦しむ人々を置き去りにしては、平和の祭典に値しない。

 仮に五輪が中止になれば、日本経済の損失は7・8兆円に達するとの試算がある。対して日本の海外援助予算は6千億円に満たない。大胆に増やして途上国の感染防止策に集中させても、中止を回避できれば十分に元が取れる計算になる。

 むろん、対策が奏功するかはわからない。それでも多くの命を救えれば五輪同様に、あるいはそれ以上に、日本の国際的評価は高まるだろう。

 途上国を日本が支援する政府開発援助(ODA)予算はここ20年で半減した。「情けは人のためならず」が、「情けをかけるとその人のためにならない」と誤用される傾向を文化庁が示したのも20年前の00年だ。04年には「自己責任」が流行語大賞候補に。他者に厳しい視線を向けるようになった世相と、外交姿勢が重なって映る。

 ちなみに「情けは…」の本来の意味は「情けをかければ、回り回って自分にも良いことがある」だ。日本にも、きっと。

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