日々小論

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 雨のにおいを大気に感じ始めるこの時季になると、頭に浮かぶのが6月23日の「慰霊の日」のことだ。太平洋戦争末期の沖縄戦で組織的な戦いが終わったとされる日がまた巡ってくる。

 だが、今年はいつもと異なる光景になりそうだ。沖縄県は、慰霊の日に開く沖縄全戦没者追悼式の規模を、大幅に縮小することを決めた。一般の参加を見合わせ、参列は県知事や県議会議長ら県内の15人程度に絞り込む。安倍晋三首相の招待も見送る方向だ。

 仕方がないと頭では理解しているものの、残念な気持ちが否めない。沖縄の人々にとって過酷な過去に思いをはせる大切な催しであるとともに、今年が戦後75年の節目に当たるからだ。

 「平和とは、あたり前に生きること。その命を精一杯(いっぱい)輝かせて生きることだということを」

 2年前の式で、地元の中学3年生(当時)相良倫子(さがらりんこ)さんが朗読した自作の詩「生きる」の一部である。県内児童・生徒を対象にしたコンクールに応募し、「平和の詩(し)」に選ばれた。

 その日のニュースで聞こえてきた相良さんの決意のこもった力強い声が心にしみたのを思い出す。この詩はその後、全国で多くの反響を呼んだ。

 沖縄は「鉄の暴風」と形容されるほどの激しい艦砲射撃や空爆にさらされ、県民の4人に1人が犠牲になったとされる。にもかかわらず、本土復帰から半世紀近くたった今でも在日米軍専用施設の7割が集中し、その過重な負担にあえぐ。

 今年の追悼式で朗報がある。県は「平和の詩」の朗読を例年通り実施する方針を固め、きのうから作品の募集を始めた。

 コロナ禍の中の慰霊の日。当日、テレビの前でじっくりと耳を傾けたい。

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