日々小論

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 がむしゃらに頑張った後で、ふとわれに返る。本当なら自分をほめていいはずなのに、なぜかむなしい気分になる。

 新型コロナウイルスの治療に当たる看護師には、そんな思いを持つ人がいる。「辞めたい」という声もあるという。

 やるせない状況が続く現場の疲弊を、兵庫県看護協会の成田康子会長が教えてくれた。

 緊急事態宣言が解除された。人々がひとまず安堵(あんど)するこの時期に、変わらぬ重荷を背負い続ける人たちがいる。そのことを忘れてはならないと思う。

 考えれば当然だ。宣言が解除されても重症の感染者がすぐ退院できるわけではない。特に集中治療室(ICU)の入院は長く、元プロ野球監督の梨田昌孝さんは人工呼吸器の治療を受け退院に2カ月近くかかった。

 新型コロナの場合、ICUでは患者1人に看護師1人のケアが必要とされ、ぎりぎりの人のやりくりが続く。マスクやガウンなどの医療防護具が足らず、感染リスクと背中合わせ。新規患者の確認数は減っても、まだまだ出口が見えないのだ。

 看護師をはじめ多くの医療従事者が疲れている。「こんな状態でもし、第2波が来たら…」と成田さんは案じている。

 安倍晋三首相は宣言解除の記者会見で「流行収束は日本モデルの力」と胸を張った。だがICU設置水準はドイツの6分の1にすぎないなど、日本の医療体制にはもともと重症者の急増に耐えられない「脆弱(ぜいじゃく)性」がある。日本医師会の研究チームがそう指摘している。首相が自画自賛している場合ではない。

 医療従事者への差別は論外だ。だが、やるせない思いにさせる要因は、個人の頑張りに頼るしかない、国の備えの不足にもあるように思えてならない。

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