日々小論

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 誰もがマスクを着けるようになって、いつの間にか習慣化したことがある。ふらりと入ったスーパーのレジ担当の店員さんや横断歩道の向こう岸にいるお年寄り、テレビで初めて見掛けるリポーター。こうした人たちの顔の見えない部分をぼんやりと想像することだ。

 これがなかなか難しい。最近のマスクは大きく情報量が少ないため、どうしても目や眉などが似た知人の顔が浮かびがちになる。それでものっぺりとした印象が少し薄れ、どこか親しみが湧いてくるから不思議だ。

 自己分析してみた。顔は大まかに目と口と鼻の三つのパーツから成り立つ。人はそれらの表情や形状を総合的に認識し、相手を理解しようとする。だがうち二つが隠されるといろんなことが捉えにくくなる。それを想像力が補うのではないか。

 日本でマスクが市民に普及するきっかけが約100年前のスペイン風邪の流行という。1980年代ごろから花粉症対策として大きく広まり、近年は「だてマスク」も話題になった。新型ウイルスの感染拡大に伴い、「アベノマスク」などの言葉も生まれ、マスクにかつてないほど注目が集まっている。

 聴覚障害者が意思疎通するには相手のマスクは壁になる。口の動きを読み取ったり、表情を見たりすることが欠かせないからだ。一度限りの邂逅(かいこう)かもしれないとき、互いに顔の一部しか知らないで別れるのは残念だ。ガラスに映る自分のマスク姿は何となく冷たく見える。

 流行の第2波への警戒が続く中、こうした不都合を一度に解消する新しいマスクをいま懸命に考えている。フィルムなどを使った透明マスクもあるようだが、夏場の暑さが気掛かりだ。何かいい手はないものか。

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