日々小論

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 つい見入ってしまう写真、というのがある。

 今週初め、ランドセルを背負った新1年生が懸命に手を洗う写真を本紙の地域版で見た。緊張が半分、期待が半分。横顔がそうつぶやいている。

 しばらく見ながら、いろんなことを思った。

 京都大学の山中伸弥教授がこのところ、「ファクターX」という用語をよく使う。欧米に比べ、コロナウイルスの感染拡大が緩やかなのには必ず理由がある。それが「X」。はて、何だろうと問いかける。

 詳しい分析は専門家に任せるとして、日本の水も「X」の一つかと、素人は考える。

 学校から帰ったら手を洗いなさい。幼いころからそう教えられて育つ。当たり前の習慣が、強敵の攻勢をわずかでもかわしていないか、と。

 蛇口を開ければ、たっぷり水が出る。恵まれた国だなとあらためて思いもした。

 ときに渇水があるとはいえ、列島の降水量は世界平均の2倍もある。地下水だけで生活用水をまかなう都市だってある。世界では不衛生な水が原因で年間1千万人死亡というから、ありがたい天の恵みだ。

 そして、もう一つ。

 水は「青い石油」といわれる。新たな資源という意味らしい。世界の人口が増え、飲める水がそれだけ貴重になった。うまい例えだが、ビジネスのにおいが鼻先をかすめる。

 法改正で水道民営化が可能になった。公営の看板がすぐに外れなくても、ソロバン勘定の先立つ時代がくるかもしれない。

 でも安くて安全な水を守りたい。新1年生が親になったときも、「手を洗いなさい」と子どもたちに教えられる国に。

 写真を見つめ、そう願う。

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