日々小論

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 まさか、東京・渋谷のオーチャードホールに招待されるとは思ってもみなかった。といっても、ウェブ上の話だが。

 神戸出身の世界的ジャズピアニスト小曽根(おぞね)真(まこと)さんが4月から毎夜、無料で配信してきた自宅でのライブ動画「私たちのリビングルームへようこそ」。最後の53回目は、聴衆のいない大ホールからの生中継だった。

 新型コロナウイルスの感染拡大でさまざまな現実に直面する世界の人へ、とっておきのサプライズとなった。いつものリビングでのリラックスした空気感を保ちつつ、自身のオリジナルなど7曲を熱演した。

 小曽根さんは日々、医療や介護・福祉関係者、ライフラインを守る人たちに感謝を伝えた。ネットで演奏を聴く人は次々にコメントを投稿。最終日も「涙があふれた」「音楽の力を感じた」「ホールにまた行きたい」などの言葉が続いた。

 同じく神戸ゆかりの作家、村上春樹さんも先日、FM放送で「村上RADIO ステイホームスペシャル」のDJをした。

 「憂鬱(ゆううつ)な気分を音楽の力で少しでも吹き飛ばしたいですね」と話し、自宅書斎のプレーヤーでレコードを回した。「雨にぬれても」「虹の彼方(かなた)に」「スマイル」「私のお気に入り」…。

 村上さんはウイルスとの闘いについて「どれだけ知恵を絞って、協力し合い、助け合い、それぞれをうまく保っていけるか」と穏やかに語り掛けた。「僕にもラジオネームを」という山中伸弥京大教授からのリクエストメールに、「AB型の伊勢エビ」と応じる一幕もあった。

 2人からの贈り物は、音楽がなくてはならないものだと改めて感じさせた。心置きなく生の演奏が聴ける日もきっと遠くないと、希望を持ちたい。

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