日々小論

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 米ハーバード大で政治哲学を講じるマイケル・サンデル教授は日本でもおなじみだ。学生と白熱の議論を繰り広げる番組が今年もNHKで放送された。

 「これからの『正義』の話をしよう」「それをお金で買いますか」。著書のタイトルはどれも、市場経済とグローバル化に人の心が支配される現代社会の矛盾を鋭く突いている。

 そのサンデル教授がこの春、ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿した。テーマは、新型コロナウイルス感染収束後の社会はどうあるべきか、である。

 日本でも「ポストコロナ」の議論が始まった。流行が終わったわけでもないのに、と違和感を覚えるが、しっかり考えておくべき課題ではある。

 原稿が書かれたのは、大学のある東海岸で医療機関が危機にひんしていた時期だ。「社会で重要な役割とは何か、再考させられた」と教授は述べている。

 医師、看護師らはいうまでもない。特に列挙しているのはトラックの運転手、倉庫の在庫を管理する人、街の衛生環境を守る作業員…。いずれも必要不可欠な役割を担う「エッセンシャルワーカー」たちである。

 過去、競争社会の勝ち組である富裕層は「経済的な成功」を自画自賛し、地道な労働を不当に軽んじてきた。しかし、感染の危険の中で体を張って社会を支えているのは誰なのか-。

 教授は問う。「コロナ後もこれまでと同じでいいのか。それとも実労働の貢献と尊厳を重んじる社会を目指すのか」と。

 米国では黒人差別に対する抗議が拡大し、教授が懸念した社会の分断がよりあらわになっている。だが「これまでと同じ社会でいいのか」は、コロナ後の日本にも通じる問いだ。今こそ「正義」の話をしたい。

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