日々小論

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 六甲の山裾に位置する神戸市東灘区の住宅地で、土砂を運ぶダンプカーがゆっくり走るのを何度か見かけた。車体には「座福ヶ原第2堰堤(えんてい)工事」の表示が。六甲山系を流れる天上川の上流で、大雨の際の土砂流出を防ぐ砂防ダムが建設されているのだ。

 山から下りてきたイノシシの親子が、川底で寝そべる。そんな光景が話題になるほどふだんは水量の少ない天上川だが、水源から急傾斜で市街地を貫く上、小さな渓流がいくつも合流するため、記録的豪雨が降れば水があふれ出す危険性がある。

 兵庫県が「千年に1度」クラスの大雨を想定して算出したところ、天上川流域では2平方キロメートル弱が浸水し、深さは最大で4メートル近くに達する。下流では水が引くまで11時間かかる。

 のどかなイノシシの川は、いったん牙をむけば、街をのみ込む。未曽有の自然災害が相次ぐ昨今、「千年に1度」は決して杞憂(きゆう)とはいえない。

 死者・行方不明者715人を記録した1938(昭和13)年の阪神大水害を契機に、六甲の防災事業は国の直轄となった。兵庫県や神戸市の施工分も含めると、1100を超す砂防ダムが設けられた。

 国土交通省六甲砂防事務所は現在も、座福ヶ原を含め17カ所で砂防ダムの建設や補強などを行っている。しかし必要な数と比べれば、まだ道半ばという。

 先週末からの豪雨により、熊本県内では20人以上が犠牲となった。雨はまだ降り続くとみられ、被害が広がらないのを祈るのみだ。

 併せて、住民の一人として認識しておきたい。大水害から80年を過ぎても、神戸・阪神間の市街地は依然、災害リスクと隣り合わせにあることを。

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