日々小論

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 「八丈島唯一の地元紙 休刊」の見出しに声を失う。今月初め、全国紙の夕刊に載った。

 東京都の離島、八丈島の新聞社「南海タイムス」が発行の継続を断念した。新型コロナウイルスの影響もあるようだ。

 記事に「ここ35年間は主に社長の苅田義之さん(59)と妻の菊池まりさん(67)の2人で取材から執筆、編集まで担当」とある。

 すると、あの記者は苅田さんだったのだろうか。

 二十数年前、取材で八丈島を訪れたとき、南海タイムスの記者と話し込んだ。奥に輪転機や活字の入った台が並ぶ部屋で、ビールを飲む。町政の話や島の歴史、個人的な楽しみ。もう少し具体的に話の中身を書きたいのだが、残念ながら、ただ楽しかったという記憶しかない。

 夕刊の記事で島民の言葉を読む。「生活に密着した視点で、島のいいことも悪いことも記事にしてくれた」。最大限の褒め言葉だろう。地元紙ってそうでなくっちゃ、愛されていたのだなあ、としみじみ思う。

 「地元紙、発行継続に使命感/避難所へ記者が配達」。こちらは、通信社から届いた熊本発の記事だ。今月、球磨川の氾濫で大きな被害を受けた人吉市の「人吉新聞」の奮闘を伝える。

 ここも20代のころに社屋を訪れ、記者と言葉を交わしたことがある。「人吉新聞」。新聞の題字を見ていると、住民がみんないい人に思えてくる。そんなことを言って、笑われたことを思い出す。

 記事は「避難所でも夜、ゆっくり読んでいる」という読者の声を記す。その姿に励まされ、被災地を駆ける記者の姿を思い浮かべる。

 地域とともに、住民とともに。きれいごとではなく、地元紙記者の端くれの実感である。

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