日々小論

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 取り囲む記者団には目もくれない。数メートル先のテレビカメラをひたすら見詰めて応答する。

 短命に終わった第1次政権で安倍晋三首相の「カメラ目線」が話題になったことがある。

 結果は言うまでもないだろう。連日のようにこの光景が流れた茶の間からは「不自然だ」などと不評を買った。それでもカメラ目線を続け、参院選惨敗で表舞台から姿を消した。

 今振り返ると確かに違和感はあったものの、国民に直接語り掛けたいという姿勢は全否定されるものではなかったと思う。問題はテレビのこちら側に言葉が響いてこなかったことだ。

 過去を反省してかどうか、今では視線がどこに注がれているのかよく分からない。ただ、発言や振る舞いから熱意や気持ちが伝わってこないのは相変わらずだ。特に新型コロナウイルスに対応し始めて国民とのズレが広がっているように感じる。

 自宅でくつろぐ自身の動画をツイッターに投稿し、外出自粛を訴えたところ、批判が殺到した。二転三転してきょう始まる「Go To トラベル」を巡っては、共同通信社の世論調査で6割以上が「全面延期すべきだった」と答えている。

 その目は一体何を見ているのかと首をかしげざるを得ない。

 松下幸之助は著書「指導者の条件」に「何が正しいかを考えつつ進むべき方針を示さなくてはならない」とつづっている。

 東京をはじめ、全国各地で新型コロナの感染再拡大が止まらない。人々の不安や戸惑いは大きくなるばかりである。首相は感染防止と経済再生の明確な戦略をしっかりと語るべきだ。

 なのに首相記者会見は1カ月以上開かれていない。この局面で国民の目を正面から見据えないでどうするのか。

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