日々小論

  • 印刷

 辞書で「肌で感じる」と引くと「考えただけではなく、実際に体験して理解する」とある。物事を深くとらえたり何かを決断したりする際に必要な要素だが、今年の就職活動は、採用者側、学生側ともにその力量が試された。

 新型コロナウイルス感染症が拡大し、来春の新卒採用活動を中断したり延期したりする企業が相次いだ。多くの企業が対面による面接を見送り、代わって取り入れたのがオンラインによるウェブ面接だった。人材紹介会社によると、最終までウェブ面接という企業が4割以上もあったという。

 その採用風景は昨年までと趣が異なる。面接官が学生に向かって自己PRや志望動機を尋ねていく手法は同じでも、それぞれの姿はパソコン画面の中に閉じ込められている。目で見て耳で聞いていることに変わりはないが、そこから息遣いや心の動きを感じることは難しい。

 互いの品定めは、無機質な箱から流れてくる映像と音声だけが頼りだ。学生にしてみれば「どんな社風か分からない」との迷いが生まれ、採用側にしても「人となりがつかみにくい」となる。ミスマッチや大量の内定辞退を危惧する声も聞かれる。

 だが、マイナス面ばかりではないようだ。学生にとっては遠方でも受験しやすく、企業側も人材発掘のチャンスとなる。兵庫県内のある企業には東北や九州からもエントリーがあり、応募者は1・5倍になった。

 リアルかオンラインか。デジタル技術を活用したコミュニケーションは、コロナ禍でニューノーマル(新常態)へと進化した。肌で感じるすべを磨かなければいけない。

日々小論の最新
もっと見る

天気(9月30日)

  • 26℃
  • ---℃
  • 50%

  • 24℃
  • ---℃
  • 60%

  • 27℃
  • ---℃
  • 50%

  • 27℃
  • ---℃
  • 50%

お知らせ