日々小論

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 「生き残ることができるのは最も強い者でも最も賢い者でもなく、変化できる者だ」。だからみなさん、変化を恐れてはいけません-。こんな文脈で引用されがちな“ダーウィンの言葉”が実は進化論の危険な誤用例だと、日本人間行動進化学会が警鐘を鳴らす声明を出した。

 発端は、自民党広報が6月下旬にインターネットに投稿した4こま漫画「教えて!もやウィン」の第1話。「もやウィン」なる謎のキャラクターが、冒頭の言葉を引き合いに「日本をより発展させるため、いま改憲が必要だ」と訴える内容だ。

 声明によると、この言葉はダーウィンの著述にはなく、半世紀前のアメリカの経営学者が私的解釈として発表した文章が誤って流布した、とされる。ダーウィンのいう進化は「ランダムに発生した変異の中から、環境に適さないものが淘汰(とうた)されていくプロセス」であり、変化できる者が生き残る、との解釈はそもそも誤りだと指摘する。

 進化論が為政者に悪用され、優生思想や民族差別が正当化されてきた負の歴史にも触れ、現代も「政治的主張に権威を与えるために科学的知識を誤用する例がある」と批判している。

 国会議事録を「進化論」で検索すると80件がヒットした。小泉純一郎首相は「構造改革」を訴える所信表明で、第2次安倍政権では茂木敏充経済産業相(当時)がアベノミクスの説明に使った。たとえ誤用でも、国民に変化への順応を求めるのに都合のいい言葉なのだろう。権力者がこの引用を持ち出した時は要注意、と心しておきたい。

 ところで、誤用との指摘を受けた自民党の二階俊博幹事長は「ダーウィンも喜んでいる」との珍解釈でけむに巻く。漫画は第4話まで更新されている。

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