日々小論

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 平日の朝が物足りない。

 NHKの連続テレビ小説「エール」の本放送が1カ月以上休止しているからだ。新型コロナウイルスの影響で収録を中断していたが、現在は再開しているようだ。優しいけれど不器用で頼りない、愛すべき主人公を中心としたドラマの続きを、首を長くして待っている。

 主人公のモデルで、昭和を代表する作曲家古関裕而(ゆうじ)さんは5千余りもの作品を残したとされる。「イヨマンテの夜」や「オリンピック・マーチ」など名曲は数多いが、個人的にベストと思うのが「長崎の鐘」だ。

 3月末の第1話のワンシーンが印象に残る。前回東京五輪の開会式の当日、主人公の前に、原爆で肉親を失った長崎出身の警備員が現れ、次のように告げた。「生きる希望を与えてくれたのは『長崎の鐘』だ。先生の曲は人の心を励まし、応援してくれる」

 長崎で原爆に倒れた人々にささげる鎮魂歌である。古関メロディーに乗って、サトウハチローさんの詞を藤山一郎さんが歌い上げた。長調に転じる部分が明るく前向きで、長崎だけでなく、敗戦に沈む日本全体を勇気づけたと言っていい。

 一方で、古関さんは戦時中、「軍歌の覇王」と呼ばれていたことも知られる。勝って来るぞと、勇ましく-で始まる「露営の歌」など数多くの軍歌を手掛けた。こうした曲を口ずさみながら多くの若者が戦地に赴き、命を散らした。

 エールの放送が休止した場面は、日本が泥沼の戦争へと突き進む直前ごろの時代設定だったと記憶している。主人公がどのように軍歌に携わり、戦後はどう戦争と向き合うのか。物語が再開したとき、そのあたりにも注目したい。

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