日々小論

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 近づく盆休み、多くの人と同じように帰省するかを迷った。

 遠く県外に暮らす老親は気がかりだが、関西在住者は多くの地方から「できれば自粛を」とお願いされる立場だ。これなら安心、と感染対策に太鼓判を押してくれる人もいない。

 帰省問題にとどまらず、コロナ禍はふれ合いが大切な高齢者の見守り活動に影を落とす。

 「特に病気を抱える被災高齢者や震災障害者にとってコロナは恐怖でしかない」。阪神・淡路大震災や東日本大震災の被災者支援を続けるNPO法人「よろず相談室」(神戸)の前理事長、牧秀一さんは指摘する。

 復興住宅の戸別訪問や交流会は当面休止している。ショックだったのは3月、いつも歓待してくれる福島の被災者に訪問を断られた時だ。今は電話で様子を確認し、ずっと気にかけていることを伝えている。

 一方、宮城県気仙沼市の被災者に届ける手紙を募る同相談室・ツタエテガミプロジェクトは思いがけない動きを見せる。

 開始から9年、寄せられた手紙を数カ月おきにまとめて現地に送っているが、毎回20通程度だった手紙が、今年4月の送付分は33通、8月分は54通と急増しているのだ。同プロジェクトの稲冨歩美さんは「コロナ自粛で自分にできることを考える時間が増え、この活動を知ってくれた人が多いのでは」。手紙ならではの温かさは、被災者にも伝わっているはずだ。

 さて、わが家の答えは出た。実家に電話すると、迷う様子もなく「老い先短い身は感染で死ぬより、ご近所の目が怖い。今年は我慢する」。いつもなら世間体などどこ吹く風、と振る舞う父の言葉がこたえた。

 コロナの夏。出し慣れない残暑見舞いを書きたくなる。

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