日々小論

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 2006年に初めて政権の座についた安倍晋三首相が掲げた政治理念は、「戦後レジーム(体制)からの脱却」だった。

 象徴的なのは第9条を筆頭とする憲法改正だが、それだけでなく憲法を頂点とした内政や安全保障、外交政策の基本的枠組みを見直すことだと、国会で答弁している。

 その一環と受け止めるのは、うがち過ぎだろうか。政権再登板の可能性が高まった12年の衆院選に際しての「建設国債を日銀に全部買ってもらう」との発言だ。

 国債を直接日銀が買うことは、財政法で原則禁止となっている。日銀券、すなわちお札を日銀が発行すれば、政府が予算を際限なく増やせるからだ。終戦2年後の1947(昭和22)年に制定された法律で、この手法により軍事費が膨張し戦争への道をひた走ったことへの反省が込められていた。

 建設国債でそれをやれば、公共事業の乱発が懸念される。発言当時は民主党政権であり、自民党総裁だった首相は「野党党首としての例示」と軌道修正したが、単なる景気刺激策か、法の根底にある反省をも否定しようとしたかは定かでない。

 第2次安倍政権はアベノミクスの名の下、積極財政を繰り返し国債発行額は積み上がった。日銀はデフレ対策として国債をせっせと買い入れた。市場を介してはいるが、事実上、日銀頼みの財政運営である。

 戦後75年の節目に、自民党は「敵基地攻撃能力」という新たな防衛政策を打ち出した。憲法9条に触れかねないだけでなく、防衛費の増大は必至だ。

 その点は国債で賄えるとの認識なら、結果として、首相の唱える「戦後」からの脱却に財政面も一歩近づくことになる。

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