日々小論

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 広島市と長崎市は1995年から、海外で原爆展を開いている。遺品の展示や被爆者の証言を通じ、核廃絶の機運を高めるのが目的だ。米国、ロシア、フランス、インドなどこれまで19カ国51都市で計59回に及ぶ。

 このことを知ったのは2年前、旅先のベルギーの地方都市で開催されていたのがきっかけだ。「こんなに遠いところで」と驚いたのを覚えている。

 しかし、こうした地道な取り組みにもかかわらず、核の本当の恐ろしさはまだ十分に世界に認識されていない。唯一の被爆国に住む一人として何とかせねばとの思いが募る。

 実は両市は今年7月上旬から約2カ月間、ハワイの真珠湾で初めて原爆展を開く予定だった。会場は湾内に浮かぶ戦艦ミズーリ記念館。だが新型コロナウイルスの世界的大流行で延期を余儀なくされた。収束を待ち、年内開催を目指すという。

 真珠湾への日本の奇襲攻撃で戦端を開いた太平洋戦争は、米国による原爆投下後、ミズーリの甲板上で日本代表団が降伏文書に調印して公式に終了した。日米にとって忘れてはならない場所での開催に被爆者からも期待の声が上がっていた。

 「戦争終結を早め、多くの米兵の命を救った」。米国では今なお原爆投下を正当化する考えが根強く残る。原爆が開発されたニューメキシコ州ロスアラモスで昨年計画していた原爆展が中止になった。共催予定の現地博物館から住民の理解を得られない懸念が示されたという。

 それだけに、「リメンバー・パールハーバー」の地元、ハワイの人々にきのこ雲の下で起きた事実を伝える意義は大きい。新型コロナの感染拡大の状況が気掛かりだが、原爆展が実現することを切に願う。

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