日々小論

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 この夏、私の周囲でささやかに流行したものがある。胸に「SAVE OUR LOCAL CINEMAS」と書かれたTシャツで、老若男女の記者が職場で着ている。「老」と「男」に入る私も、その一人だ。

 Tシャツは新型コロナウイルスの影響で危機的な状況となった京都、大阪、兵庫の小さな映画館を支援するプロジェクトが作った。背中に参加劇場の名がプリントされている。

 兵庫では「元町映画館」「宝塚シネ・ピピア」「豊岡劇場」「神戸映画資料館」「パルシネマしんこうえん」が入る。

 このうち神戸の元町映画館では、戦後75年の夏を迎え、「東京裁判」「蟻(あり)の兵隊」が上映された。現在「ゆきゆきて、神軍」がかかっている。いずれも見る者に何かを考えさせる、ドキュメンタリーの秀作ばかりだ。

 あの戦争について学ぶとき、欠かしてはならないと思うのは日本の植民地支配についてである。朝鮮、台湾では当初は志願兵や軍属の形で、その後は徴兵制が敷かれ、多くの若者が日本の戦争に駆り出された。戦死者は5万2千人といわれ、戦後、東南アジアなどでB、C級戦犯として処刑された人も多い。

 戦前の朝鮮で生まれた作家、梶山季之は小説「族譜」で、先祖代々の名前を捨てさせ日本語名への改名を強いる「創氏改名」をめぐる悲劇を描く。

 改名させられ、日本語を使うよう強いられた人たち。彼らを主人公にした韓国映画「マルモイ ことばあつめ」が、これから元町映画館で上映予定だ。母語を守り、未来へ伝えるため、辞書作りに奔走する。

 「SAVE OUR WORDS」。抗日映画と片付けず、自分たちの言葉を守ることの意味を考えたい。

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