日々小論

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 社屋のある神戸・ハーバーランド周辺にも、少しにぎわいが戻ってきたようだ。神戸駅までの道すがら、父親と幼い男児の会話が耳に入ってきた。

 「二兎(にと)を追う者一兎をも得ず。声に出してごらん」

 「にとをおう…。えーっと」

 新型コロナ感染対策と「Go To トラベル」を巡る安倍政権のことだろうか。どんないきさつでその故事が出てきたのか気になったが、新聞社にとっても身につまされるテーマだ。

 「紙か、デジタルか」。今春、デジタル版神戸新聞NEXT(ネクスト)の編集部門へと異動になった。30年近く紙面の編集に身を置くが、初めてのデジタル部門。全くの素人にも、そんな難しい問いが日々容赦なく浴びせられる。「デジタルへシフトしているが、紙も、デジタルも」と答えているが、これは紛れもない実感だ。

 だが、世界は大胆に変わろうとしている。ニューヨーク・タイムズ最高経営責任者が同紙の印刷について「あと10年は確実、たぶん15年以上はあるかもしれない。だが、20年後もあるとしたら、驚きだ」と発言して波紋を広げた。新聞の部数とともに広告収入も減り続け、コロナ禍が追い打ちを掛ける。米最大手の同社でさえ収入を戻すのは難しい。

 地方紙もデジタル化が進む。社内ではこの夏、新たなコンテンツ(素材)を生み出すチームが立ち上がった。ネタ選びや取材の方法、見せ方などを大胆に変えていくことになるだろう。

 アナログ世代の頭に少し前にはやったコピーがよぎる。「二兎を追うものしか、二兎を得られず」。新聞社はまだしも紙に親しむ読者に支えられている。止まらない感染拡大の中で、覇気がない首相はどんな心境か。

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