日々小論

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 〈大きければいよいよ豊かなる気分東急ハンズの買物袋〉

 神戸・三宮の大型商業施設、東急ハンズが年内で閉店するとの報に、俵万智さんの一首を思い出した。ベストセラーとなった1987年の歌集「サラダ記念日」に納められている。

 時まさしくバブル景気の入り口。百貨店ともスーパーとも異なる品ぞろえのハンズは全国で人気を集めた。当方も88年に開店した三宮のハンズに、これまで何度も足を向けた。

 戦後の神戸のジャズ文化を彩るキャバレー「新世紀」があった場所だ。周囲にはケーキショップや中国・四川料理の著名店もあり、近くの生田神社も合わせ、センター街や元町と異なる神戸らしさを醸し出した。

 白いビルに掲げられたハンズの緑色のロゴマークは東京発祥ながら街に溶け込み、「豊かなる気分」をいっそうかきたてられたのが印象に残る。

 だが近年になってケーキショップは大手ドラッグストアに様変わりし、四川料理の店は閉じた。全国チェーンの店舗の派手な看板も目立つようになった。同じような変化が、センター街や元町でも見てとれる。

 街の「らしさ」が失われていくことに、歯止めをかけるのは難しい。ひょっとしたら、画一的な店ばかりの方が好まれる時代になったのでは、とも悲観する。価格も品ぞろえも味も、想定内に収まるからだ。

 ハンズなき後、あの白いビルはどうなるのか。都市部でまとまった規模の不動産物件が出ればホテルやマンションが建つのが最近のトレンドだが、ここは定石を飛び越え、訪れるだけで「豊かなる気分」になれる再開発に期待をかけたい。コロナ禍の外出自粛も、未来永劫(えいごう)続くわけではないはずだから。

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