日々小論

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 20年以上前の話だが、遠方の友人が姫路を訪ねてくると、姫路城以外に案内していた場所がある。城の南に広がっていた「お城本町(お城マート)」と、姫路駅南にある手柄山だ。

 前者は「姫路に残る唯一の戦後」、後者は「未来志向の夢の跡」と説明していた。友人は大いに面白がってくれた。誤解がないように付け加えると、いずれも筆者が大好きな場所だ。

 お城本町は、空襲の被災者らのために建てられた仮設店舗から転じた住宅地だ。隣近所の声がまる聞こえだったが、下町の風情があった。住民も個性派ぞろい。黒板を掲げて自作を書き付ける詩人、年季の入ったたれを使い続けるうなぎ屋、そしてヤクザ。現在は再開発ビルに姿を変えている。

 手柄山は、1966年に開かれた姫路大博覧会の会場として整備された。急速な戦後復興を遂げ、高度成長を謳歌(おうか)した時代だ。SF映画のような奇抜な建物が建ち、姫路駅までの1・6キロを結ぶモノレールが開通した。祭りの騒がしさが去り、モノレールが休止された後も、波の起きるプールと家族向けの遊園地が市民らを引き付けた。

 そのプールと遊園地が6日で閉鎖される。老朽化した施設は取り壊され、新施設に生まれ変わる。時代の流れで仕方ないが、予想以上に多くの市民が、遊園地の「落書き」企画や本紙の声募集に惜別のメッセージを寄せている。家族や友人との思い出とともに、都市が前のめりに「発展」を希求した時代へのノスタルジーもあるのだろう。

 閉園後、遊園地の遊具などを売却する計画が持ち上がっている。思い出の特売。面白いアイデアだと思う。筆者も財布と相談しながらだが、幼い頃の思い出を手に入れてみようかな。

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