日々小論

  • 印刷

 「次の首相」最有力とされる菅義偉官房長官とは、どんな政治家なのか。総裁選告示日の演説を聴くうち、頭の中の「警戒センサー」が反応した。

 特に「私の目指す社会像は、まず自助・共助・公助、そして絆であります」という部分だ。

 「自分でできることはまず自分でやってみる。そして家族、地域で助け合う。その上で、政府が責任を持って対応する。そうした国民から信頼される政府を目指します」と続く。

 災害時に語られる「自助・共助・公助」では、まず公助があって、自助、共助がその限界を補完する。災害対策基本法は国民の命と財産を守る責務を国や自治体が負うと定めている。

 菅さんのは逆、いわゆる「自己責任論」ではないか。国民は政府の負担を軽くするため自力で奮闘努力せよ、と迫られているようにも聞こえた。

 「そして絆」が加わって、警戒度はさらに上がる。辞書によれば絆は「断つことのできないつながり」。「馬などをつないでおく綱」が語源とされる。

 絆は東日本大震災が起きた2011年の「今年の漢字」に選ばれた。家族や故郷との離れがたい結びつきを、いとおしく感じた年だ。未曽有の大災害を乗り越えるための一体感を醸し出す力強い言葉でもあった。

 だが、これを権力者が掲げるのには違和感がある。政府が公助を怠り、競争をあおり、弱者を顧みなくても、絆でつながれた人々は自助に励み、従順に助け合い、政府に責任を果たせと求めようともしない。絆を疎んじる者は排除される。そんな社会は息苦しくてならない。

 「まず自助」と説く菅さんが思い描く「絆」は、どんな質感だろう。国民を縛る、ざらついた綱でないことを願う。

日々小論の最新
もっと見る

天気(10月30日)

  • 19℃
  • ---℃
  • 10%

  • 16℃
  • ---℃
  • 50%

  • 19℃
  • ---℃
  • 10%

  • 20℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ