日々小論

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 5歳で命を落とした東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん虐待死事件で、母親優里被告(28)の刑が確定した。

 保護責任者遺棄致死罪に問われ、一審で懲役8年。被告側は元夫によるドメスティックバイオレンス(DV)の影響を過小評価していると控訴したが、二審の判決も同じだった。

 東京高裁の裁判長は述べた。「DVの影響があったとしても、母親として娘を助けるために医療措置を受けさせることは十分可能だった」

 報道などから伝わってくるのは、優里被告の自己肯定感の低さである。彼女の手記には次のような1文がある。

 「彼(元夫)の言う通り、私みたいに友だちが少なくて回りからバカだと思われ、振り返れば楽しい記憶なんて一つもないような寂しい人生、結愛には絶対に歩ませたくなかった」

 元夫から人格を否定され長時間説教されてもDVと認識できず、自分の努力が足りないからだと思っていた。しつけと称した娘への暴力を止めようとしたが「お前のようになってもいいのか」とやり込められた。裁判でも同様のことを述べている。

 優里被告に非がなかったと言いたいわけではない。しかし、夫の命令は絶対だと思い込まされ、苦しくても「助けて」が言えなかったDV被害者の彼女を、母親なのにと責めるのはあまりに酷だと思う。

 DVと児童虐待が重複するケースは多い。結愛ちゃん事件では児童相談所などの行政もかかわったが、「母子ともに救う」という視点が欠けていた。

 二審判決後、優里被告は接見した弁護士に「私はあまりにも無知だった。これから社会の仕組みなどを勉強したい」と語ったという。胸が詰まる。

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