日々小論

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 あの人はたたき上げだから…というとき、悪意をこめることはまずない。

 エリート街道まっしぐらではなく、第一線で汗を流してきた人は、現場の隅から隅まで知りつくし、修羅場にも強い。どの組織でも、屋台骨を支える貴重な存在だ。

 苦労人。これもほめ言葉として使われる。

 貧しい村から単身、都会に出てきて働きながら学んだ、という人に対しては、努力の積み重ねに頭が下がる。

 たたき上げの苦労人、と重なれば、尊敬に値する。

 現場がどれだけ厳しい状況にあるか、つらい立場にいる人々の心境はいかほどか、この人ならわかってくれる。偉くなっても手を差し伸べてくれると期待しがちだ。

 だが、意地悪くとらえればこうなる。

 現場を知りつくしているなら、組織掌握のツボも心得ているはず。偉くなれば手を差し伸べるどころか、アメとムチで威光をとどろかせるに違いない。

 苦労して今の立場に至ったということは、あまり人に頼らずに逆境を切り開いてきたということ。だから周囲に対しても、人に頼らずにできることはまずやれと、自助努力を求めるのではないか。

 たたき上げの苦労人にふさわしいエピソードを自ら披露してアピールするような人物がいれば、言葉のイメージを巧みに利用するつもりではと、用心するに越したことはない。

 人を外観で決めつけてはいけないという。同様に職歴や生まれ育ちだけで判断せず、目指すものや実際の手腕をきちんと見定めたい。

 その相手が政治家や宰相なら、なおさらのことだ。

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