日々小論

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 新型コロナウイルスの感染拡大は当初、私たちに不安や恐怖を植え付ける一方、ある希望も抱かせた。人々の価値観を転換し、新たな世界を実現させるのではないかということだ。

 同様の思いを作家高村薫さんが本紙「随想」につづっている。「この未曽有のコロナ禍のあとに私たちを待っているのは、どんな世界だろう。筆者には恐れより、ほんの少し期待もある」。かくいう私も、経済最優先の競争社会から脱却し、人間や環境本位の世の中が到来するのでは、と思い描いていた。

 だが、パンデミック(世界的大流行)から半年以上がたった今、少なくとも日本では価値観の大きな変化は感じられない。相変わらず、人々の欲望を満たすために社会が動いているように映る。

 イタリアの作家パオロ・ジョルダーノ氏は自身のエッセー集「コロナの時代の僕ら」(早川書房)でこう問い掛けている。

 「本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか」

 人間社会はなぜ変わらないのか。考えてみると人は急激な変化を苦手としている生き物なのかもしれない。慣れ親しんだ日常を踏み越えるのは確かにしんどいことだ。必要な変化であったとしても拒絶してしまいがちだというのもよく分かる。

 しかし、それでも変わらなくてはならないときがあると思う。全人類に多大な影響を及ぼしているコロナ禍はそれにふさわしい出来事であるはずだ。

 最後にジョルダーノ氏がエッセー集に記した印象的な言葉を紹介したい。

 「僕らは、今からもう、よく考えておくべきだ。いったい何に元どおりになってほしくないのかを」

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