日々小論

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 東京の通勤電車の混雑は典型的な「3密」だ。新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)となるのを恐れ、自転車通勤にした人も多いと聞く。

 では、公共交通でクラスターの発生例をご存じですか?-。「里山資本主義」などの著書で知られるエコノミスト、藻谷浩介さんの講演に、考えさせられた。確かに運転士や駅員の感染例はあっても、電車のクラスターは聞かない。

 藻谷さんは、日本は欧米より人口当たりの死者数などがはるかに少ないのに経済が低迷していることをデータで示した。飲酒や大声、換気不十分などの条件がそろう場所の感染リスクを指摘する一方で、公共交通の利用減を一例に、ウイルスへの過剰な恐れが経済活動を縮小させていると断じた。

 原因はマスコミと国民の「循環参照」という。国民はマスコミ情報を参照に不安を抱く。マスコミは、そうした社会の空気に合わせた情報を発信し、それをまた国民が参照する。確かに感染再拡大の可能性など「備え」を強調する情報が受け手の不安を高める側面は否めない。

 藻谷さんは新聞を一次情報として重視するそうだ。決してマスコミ否定論ではなく、冷静で多様な情報発信を、との叱咤(しった)激励と受け取った。

 ただこのウイルスは、病状急変や後遺症など未知の面が数多い。東京では感染経路の不明者が毎日100人近くに上る。確認されていないクラスターは、まだまだ残されているかもしれない。

 不安をあおらず、楽観もせず。コロナ情報の伝え方は試行錯誤を続けるしかない。いつか治療法が確立し、「当時はなんと大げさに報じていたか」と驚かれる日が来るのを待ち望む。

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