日々小論

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 米大統領の「核のボタン」は実際はボタンではない。機密機器が入った「核のフットボール」と呼ばれるかばんである。外出先に随行の側近が運ぶ。

 2016年にオバマ前大統領が広島を訪問した際にも目撃され、報道陣のカメラに捉えられた。重そうなかばんを目にして、急に現実を突き付けられた気がしたのを覚えている。

 残り1カ月を切った今回の大統領選で特に注目しているのが核政策である。核の開発・更新に積極的な共和党のトランプ大統領に対して、民主党のバイデン前副大統領はオバマ氏が提唱した「核なき世界」の理念継承を掲げる。イラン核合意や米ロ間の新戦略兵器削減条約などへの姿勢も対照的だ。

 トランプ氏の前のめりな核政策が、ロシア、中国の核戦力増強や北朝鮮の核開発をあおり、世界の核を巡る情勢は厳しさを増している。米国の「核の傘」に依存する日本政府の本音は分からないが、核廃絶のためにはどう考えてもバイデン氏が勝利する方がよさそうだ。

 ただ、オバマ氏は、核が存在する限り、抑止のために核を維持することを正当化していた。核廃絶を妨げているのが核抑止の考え方とも指摘される中、オバマ氏の理念を引き継ぐバイデン氏がこの二つをどう結びつけるのだろうか。

 9月下旬にあった両候補による初の討論会は罵倒合戦となり、「史上最悪」などと報じられた。議論も深まらず、失望した有権者も多かっただろう。

 トランプ氏の入院で選挙戦も一時中断した。次の4年間、核のフットボールは誰に付き従うことになるのか。運動が再開したときには、判断材料となるような、核政策も含めた活発な政策論争を聞きたいものだ。

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