日々小論

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 「こざね法」というものをご存じだろうか。考えをまとめ、論理的な文章にするときの技法の一つだ。民族学者の故梅棹(うめさお)忠夫さんが発案した。

 小さい紙切れに、テーマに関する単語や短い文を一つずつ書いていく。机や床に並べ、つながりを探しながらまとめる。その紙切れを、字が読めるように重ねてホチキスで留める。

 紙がずれて重なる様子が鎧(よろい)の小札(こざね)を思わせるので、こう名付けたそうだ。素材を組み合わせるうちに思いもしなかった発見があると、梅棹さんは言う。

 こざね法を含め、知識を整理し、読み、書くすべを伝授した岩波新書「知的生産の技術」は1969年に出版された。それが100刷を重ねた。内容が今も通用する証しだろう。

 今年は生誕100年、没後10年にあたり、梅棹さんが館長を務めた大阪・国立民族学博物館で記念企画展「知的生産のフロンティア」が開かれている。

 展示で興味深いのが、デジタルアーカイブズだ。梅棹さんが残した膨大な資料が検索できるのだが、一つ一つを画面上でカードのように見せ、それが立体的に並ぶ。並び方も自由に変えることができる。人工知能(AI)時代の知的生産はこうした技術が支えるに違いない。

 とはいえ、やはり梅棹さんの手書きのノートやスケッチに目が行ってしまう。実物だからこそ「知の巨人」と呼ばれた人の息づかいが感じられる。

 こざねの展示もある。説明文は「アナログな『こざね』のほうが、机いっぱいにひろげて全体像を確認したり、からだをうごかしたり、案外、より健康的かもしれません」とユーモアがあり、なるほどと思った。

 このコラムも、紙のこざねを見ながらパソコンで書いた。

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