日々小論

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 今年は日本人ゼロとなったノーベル賞。受賞時に原稿を書くため、世界から有力視されている兵庫ゆかりの学者の資料を集めていたのだが、難解な研究内容より、研究への向き合い方についての言葉が印象に残った。

 甲南大学元教授の理論物理学者・佐藤文隆さんは、ブラックホールの解明につながる一般相対性理論の「冨松-佐藤解」の発見で注目された…といわれても、正直、ぴんとこない。

 その点を踏まえ、佐藤さんは弊紙の記事で「基礎科学はすぐには役には立たないが、100年後に役立つ可能性がある。その『種』は育てておかなくてはいけない」と話している。

 神戸市出身で、物質同士の反応を活性化する触媒研究の第一人者である中部大教授の山本尚さんも学会誌で指摘する。わかりやすく、課題解決につながる応用研究ばかりが重視されれば、答えがすぐに出ない純粋な研究が育たない。その結果、応用研究の力も弱まる-と。

 これをもって、学者は国民と別世界の聖域に安住しようとしているとみるのは曲解だろう。佐藤さんは「社会が何を求めているか」を意識し、科学の役割を説く一般書を著した。宍粟市出身でがん研究の第一人者・前田浩熊本大名誉教授は、自著で野菜スープの効用を分かりやすく説いた。

 折しも、首相による日本学術会議の新会員任命拒否が表面化した。学術会議が発信した提言や報告は今年だけで80本を超す。下村博文自民党政調会長の「会議の活動が見えない」という批判はあたらない。

 研究成果を国民に還元したいという思いは多くの学者が抱いているはず。読書の秋、先端研究はわからずとも、著名な学者の思索の一端に触れてみたい。

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