日々小論

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 コロナ禍の中、広く知られるようになった専門用語の一つが「PCR検査」だろう。「クラスター」や「ロックダウン」などと比べても、知名度は上位を争うのではないか。

 PCRは「ポリメラーゼ・チェーン・リアクション」の英語表記の略だ。簡単に説明すると、遺伝子の本体であるDNAを短時間で大量に増幅し可視化する技術である。SF映画「ジュラシック・パーク」で恐竜を再生する過程で使われたと言えば分かりやすいだろうか。

 現在ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査法だが、考古学や犯罪捜査など他分野でも幅広く応用されている。

 もはや人類にとってなくてはならない技術で、開発した米国のキャリー・マリス氏が1993年にノーベル化学賞を受賞したというのも納得できる。

 そのPCR検査だが、日本では、新型コロナウイルスの世界的流行に即応して、他国並みに大量の検査を実施する体制を欠いていた。新型インフルエンザ流行時の対策を検証するために厚生労働省が設けた有識者会議が10年前、検査体制の強化を盛り込んだ提言をまとめたが、政府は放置していたのである。

 PCR検査は万能ではない。「偽陽性」や「偽陰性」のリスクがつきまとい、有効性を疑問視する意見もある。しかし、主な検査法で最も精度が高いのは確かである。提言を置き去りにしていい理由にはならない。

 結局日本は感染症への十分な備えができていなかった。PCR検査を受けられず容体が悪化し、亡くなる例もあった。政府は大いに反省せねばならない。

 とにかく安心できる検査体制を-。インフルエンザとの同時流行が警戒される季節を迎え、そうした思いを強めている。

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