日々小論

  • 印刷

 神戸市児童相談所(現神戸市こども家庭センター)で長年心理判定員を務めた三宅芳宏さん(77)が初めて虐待された子どもを担当したのは、1973(昭和48)年のことだ。

 3歳の女の子Nちゃん。体中にあざややけどの痕があり、父親に殴られて虫の息だった。1週間後、今度は8歳の小学女児Mちゃんが連れてこられた。栄養失調状態で3歳児の体重にも満たなかった。

 「衝撃を受けました。当時は虐待への対応といっても文献や先行事例がなく、分からないことだらけ。とにかく必死でした」。ガリガリにやせていたMちゃんは入院中、成長を一気に取り戻すかのように3カ月で体重が十数キロ増えたという。

 厚生労働省が児童虐待の全国統計を取り始めたのは、その17年後の90年からだ。

 児相に寄せられる虐待の相談は増え続けている。2019年度は兵庫県内で約8300件。関心の高まりが件数増加につながっている側面はあるだろうが、虐待死事件は後を絶たない。18年度には全国で73人の子どもが亡くなった。

 虐待対応のパイオニアである三宅さんが痛感したのは、親の悲しみを受け止めることの大切さだという。

 「多くの親は公的機関やいろんなところからひどい扱いを受けた経験を持っていました。つまり、社会からネグレクト(無視)されてきた。そのつらさに寄り添うことが一層、求められているように思います」

 11月は児童虐待防止推進月間。もしかしたら、苦しみの中にある親や子どもが身近にいるかもしれない。児相や全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」などへの相談を、どうかためらわないでほしい。

日々小論の最新
もっと見る

天気(11月30日)

  • 15℃
  • 8℃
  • 10%

  • 12℃
  • 6℃
  • 30%

  • 15℃
  • 8℃
  • 0%

  • 15℃
  • 6℃
  • 10%

お知らせ