日々小論

  • 印刷

 大相撲の荒汐親方は、蒼国来のしこ名で活躍した力士だ。「中国出身」と紹介されるが、漢族ではない。内モンゴル自治区出身のモンゴル族である。

 幼少期から故郷伝統のモンゴル相撲で鍛え上げた。

 本名は「エンクー・トプシン」。「エンクー」も「トプシン」も「平和」という意味だ。両親は「心優しいますらおに」との願いを込めたのだろう。

 そのますらおが、怒りに震え、悲しんでいる。中国政府が中国語(漢語)による教育を強引に推し進めているからだ。

 漢語を少数民族にも「母語」と一方的に押し付け、モンゴル族が通う小中学校で国語に当たる授業を1年から漢語で行う。「道徳と法治」「歴史」も順次漢語に切り替えるという。

 「自治区」とはいえ人口は漢族が圧倒的だ。漢族の移住促進による同化政策で、民族語を話せる子どもが激減している。親方は、先日の夕刊の記事で「このままだと母語が失われる」と危機感をあらわにした。

 同じ状況はチベット、ウイグルなどでもみられる。習近平政権は多様な民族の存在を否定するかのように、ことさら「中華民族」の意識高揚を掲げる。

 漢族以外の中国出身者は兵庫でも生活している。内モンゴルと交流を続ける地域もある。

 親族の身を案じてか、日本に滞在する人の多くは民族問題の話題を避ける傾向があった。親方も抗議集会への参加は控えてきたが、「食事も喉を通らないほどのショックを受けて」初めて声を上げたという。

 言語は民族固有の文化だ。一人一人の心は幼い頃から母語によって育まれる。その大切な母語が強権に脅かされている。同じような事態に直面すれば、誰だって黙ってはいられない。

日々小論の最新
もっと見る

天気(12月2日)

  • 16℃
  • ---℃
  • 10%

  • 15℃
  • ---℃
  • 30%

  • 16℃
  • ---℃
  • 0%

  • 16℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ