日々小論

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 菅義偉首相の誕生から1カ月余りが過ぎた。おおかたの予想通りの結果に終わった首相指名選挙の陰で起きていた、小さいけれど心に残るサプライズを改めて紹介したい。

 「伊藤孝恵さん、1票」。菅氏、立憲民主党の枝野幸男代表らの名に続いて読み上げられた投票結果に、参院本会議場がどよめいた。記名投票だが、その場では誰が入れたのか分からない。戸惑う伊藤氏に対し「自分で入れただろう」「何も知らないくせに」「造反か」などのやじが浴びせられたという。

 伊藤氏は愛知選挙区で2016年に初当選し、国民民主党に所属する参院議員。投票したのは19年に秋田選挙区で初当選した無所属の寺田静参院議員。どちらも45歳の女性で、党派は違うが子育てと仕事の両立を考える「ママパパ議連」の一員だ。

 寺田氏がブログなどで投票に込めた思いを語っている。

 子育てに悩み、周囲から「母親のくせに」と批判されても国政に挑んだ強い覚悟。課題を解決するために発言し、行動に移すフットワークの軽さ。それでも時々顔を出す「私なんかが」という自縛の念-。こうした伊藤氏の姿を自身の問題意識に重ね「彼女なら政治を変えてくれると心から思った」と。

 政界の“常識”からはとっぴな行動に見えても、寺田氏には賛同の声が多数届いているという。橋本聖子男女共同参画担当相も「首相や閣僚に女性が当たり前に起用されるのが望ましい。これからの世代に第一歩をしるした」と敬意を表した。

 悩みや葛藤を共有する女性たちが意思決定の場に増えれば、党派を超えて連帯していける。この1票への共感の輪が、新しい政治と女性首相誕生への大きな一歩になると信じたい。

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