日々小論

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 スマートフォンがある環境で生まれ育ち、本や雑誌を読まないらしい「スマホ・ネイティブ」には、ぴんとこない話かもしれない。

 かつて、誰かの本棚を見ることには密(ひそ)やかな楽しみがあった。本棚は、持ち主を映す鏡だ。コレクションに意外な一面を見たり、あるいはがっかりしたり。だからこそ、新聞や雑誌のインタビュー記事は決まって、好きな作家や座右の書を聞いたものだ。

 そんな誰かの本棚を、公開している場所がある。大阪市に7月開館した「こども本の森 中之島」。建築家の安藤忠雄さんが建物を設計して市に寄贈した図書館で、「あの人の本棚」と題する企画棚がある。現在は、山中伸弥・京都大iPS細胞研究所長の少年時代の本棚だ。ハヤカワのSFがずらりと並ぶ。

 企画は安藤さん自身の発案というから、いかにも、だ。2年前にお目にかかった安藤さんは、ちゃめっ気たっぷり。サービス精神を忘れない人だった。

 安藤さん寄贈の図書館は、神戸でも近く着工される。市に出された提案書が、優しい。

 「私は子どもの頃、ろくに本を読むことができませんでした。大人になって、読書の楽しさや、大切さに気が付き、それから多くの本を読んできました。(中略)それだけに、もっと幼い頃から、絵本や文学に触れることが出来ていればと後悔もしました」

 子どもたちに向けて、こうつづる。「スマートフォンに触る時間を半分にして、本を読み、考え、そして悩むことで、人生を生きぬく力を身につけて欲しい」-。

 安藤さんの本棚は、どんなだろう。

 もうすぐ読書週間。

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