日々小論

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 「僕は音楽の授業を受けているとき、この授業は本当にいるのかと思いました」

 ドキッとする書き出しの投書が当コラム欄の左側、読者の投稿コーナー「発言」に載ったのは8月。姫路市の小学生(12)からだった。こう続く。

 「理由は、大人になって音楽を使った職業なんてあまり多くないからです」。以下、要約すると-。

 〈音楽の仕事に就きたい人や好きな人は習い事で学べばいい。学校で「うわっ、次は音楽や」と言う友だちも、パソコンの授業には言わない。コロナの休校で授業時間が足りないので、ほかの授業をする方がいい〉

 実感に根ざした率直かつ理路整然とした意見に、同い年の子を持つ親として感心した。しかも、いろんな意味で刺激的。予想通り反響は大きく、呼応して投稿が相次いだ。

 「今この仲間としかできない歌や演奏は貴重。音楽の授業は必要」と加古川市の中学生(13)。「入試に必要なものだけでなく、音楽や美術も学んでほしい。無駄なものは何もない」とは稲美町の女性(68)だ。

 教育分野を取材していると、「実学志向」「即戦力育成」がますます幅を利かせるようになったと痛感する。どちらも大事だが、日本は偏っていると感じる。教育現場に対して、短期的な成果を求め過ぎなのだ。

 「変化の早い時代を生き抜くため」「グローバル競争に勝つため」と国や産業界は実学の重要性を説く。小学校で英語やプログラミングの授業を受けている児童は、意識しているかどうかは別にして、そうした社会からのプレッシャーに日々さらされているように思う。

 「音楽の授業は必要ですか」との12歳の問いは深くて鋭い。

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