日々小論

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 高校2年生の堤将太君が神戸市北区の住宅街で刺殺されて10年が過ぎた。「将太よ」というタイトルで連載する中で、「思い込みの罠(わな)」に自らが落ち込んでいたことを思い知らされた。

 第一に、事件直後に報道された将太君の写真から受け取ったイメージだ。私は当時、取材班に加わっておらず、知っている情報は読者と変わらなかった。

 茶髪だった将太君の外見から想起した中傷がネットにあふれたことに連載で触れたが、私自身「仲間内でトラブルがあったのでは」と受け止めていた。

 だが、取材メモを読み返すと、友人や近隣住民、学校関係者の評判はとてもよく、捜査も早い段階で「トラブルはなかった」との見通しを立てていた。

 第二。将太君は何度も刺され、致命傷になった傷は肺に達していた。恨みの深さと用意周到さを想像していたが、凶器とされるナイフはステンレス製の安物で、殺害のために準備したとは考えにくい代物だった。

 第三。現場は袋小路のような山あいの住宅街で、発生も午後11時前だったから、目撃者がいなかったのは仕方がない、と思っていた。だが、同時刻に3度現場に立つと、前後の20分間で歩行者は6~8人、車は20~30台が行き交った。決して交通量は少なくない。だからこそ「容疑者は前足、後ろ足(犯行前後)の目撃がない。突然消えとるんや」という捜査員の嘆きの言葉が身にしみた。

 第四は手配書にある容疑者の似顔絵。長髪に太い眉毛と極めて特徴的だ。だが、もし、あまり似ていないとすれば-。

 殺人事件の時効は撤廃された。いまだに謎の多い事件だが、両親は逮捕をあきらめていない。将太君の未来を奪った容疑者は法の裁きをうけるべきだ。

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