日々小論

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 「寸鉄人を刺す」とは、鋭い批判や警句でグサリと痛いところを突くことを言う。

 日本学術会議の会員任命拒否問題で、学術団体がこぞって菅義偉首相を批判している。中でも異彩を放っているのが「イタリア学会」の声明だ。

 会員数250人ほどの小さな学会が発した怒りの言葉は「寸鉄」の迫力と鋭さを持つ。

 首相は学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人を除外した。「総合的、俯瞰(ふかん)的な観点から」「多様性を重視」などと述べているが、具体的な理由は国会でも語らない。にべもない対応は、菅氏お得意の追及回避術なのだろう。

 声明は、それこそが「民主主義に反する権力の行使(国民に対する暴力)」と指摘する。

 そもそも人事で恫喝(どうかつ)する手法も「一種の〈暴力〉」と言えるが、「なぜそうしたか」を語らないことで、人々は戦々恐々となり、心理的に支配される。

 「無言の暴力」が国民を無力化する手法であることを、声明はギリシャ悲劇やドイツ、ロシア文学などを素材に解き明かす。古今東西、圧制者が用いてきた常とう手段と知らされる。

 そして中世イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイ。地動説を唱えてローマ教皇の怒りを買い、著書は禁書とされ、異端審問で軟禁生活を強いられた。

 今回、政権は税金投入を理由に学術会議の人選に介入した。つまるところ、ガリレオを処罰した教皇のように、何が正しく何が間違っているかを時の権力が決める点で「ガリレオ裁判と変わりない」と断じる。

 情報公開制度が権力チェックの手段として古代ローマ帝国で芽生えたことも、教えられた。政権幹部は鼻であしらわず、熟読し、学ぶべきである。

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