日々小論

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 民間のシンクタンクが政府の新型コロナウイルス対策を検証した報告書を上梓(じょうし)した。安倍晋三前首相ら関係者の証言がなかなか興味深い。

 2月に発足した政府の専門家会議は公式会合と別に週2~3回集まり、議論を重ねたが、政府は会議室を用意せず「手弁当」で場所を確保した-。

 感染が広がる中、文部科学省は一斉休校の影響を調べたが、実施が必要と判断しなかった。しかし2月末に安倍氏が突如実施を決めると、文科事務次官は即答した。「私もやった方がいいと思っているんです」-。

 政府と専門家の距離の遠さや政権の忖度(そんたく)体質を改めて浮き彫りにしている。

 安倍氏は5月末、欧米のような強制措置を伴わず感染を抑えた点を「日本モデル」と表現した。しかし夏には再び拡大に転じ、内閣官房の職員は「だましだましやっている」「日本モデルはない」と証言している。

 医療現場の奮闘など、評価すべき点もある。だがそこで思考停止すれば、変化に対応できない。まして、日本はよくやったとあぐらをかくのは禁物だ。

 保健所の組織強化など、10年前の新型インフルエンザ対応の際に指摘された点が今回のコロナ対応でも課題となった。報告書の問題提起と提言は、厚生労働省の組織設計や政府の政策発信のあり方など多岐にわたり、こう締めくくる。

 どうやったらもっと上手に学べるのか。学ぶことを学ぶ責任が、私たちにはある-。

 「国難」に直面しても、過ぎ去ってしまえば検証せず学びもしない。報告書は、そんな政府の悪弊を断ち切るよう求めた。ただ、かつての戦争を巡っても同じ傾向がうかがえるだけに、悪弊の根は相当深そうだ。

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