日々小論

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 繁華街を歩き、空き店舗が増えたと感じる。

 「地域金融機関による事業承継支援と信用保証制度」(中央経済社)の編著者で、神戸大経済経営研究所の家森信善教授によると、年に4万社超が休廃業・解散するうち約6割は黒字を確保している。後継のいない高齢の経営者が「事業承継? うちには関係ない」と決めてしまう例が少なくない。

 そもそも事業承継は後継選びや教育、資産整理など5~10年かかるとされる。コロナ禍で合併や買収は滞っている。

 兵庫県内で承継を済ませた事業所に尋ねると、継いだのは親族が約8割を占め、従業員は1割にとどまった。従業員は資金繰りの苦労が多く、引き継ぎ後も相談相手を見つけにくい。一方で、従業員を含め若い世代が引き継ぐと、利益が伸びる確率は高まるという。

 未承継の事業所の多くは、経営計画を立てていない。廃業を考える経営者の大半は、金融機関に相談していない。

 家森教授は「相談相手として十分認識されていないこともあるが、金融機関によって事業承継支援の力の入れ方にばらつきがある」と指摘する。

 金融庁は金融機関別に、事業承継支援件数など「金融仲介機能のベンチマーク」、承継時の経営者保証の「金融仲介の取組状況を客観的に評価できる指標群(KPI)」の開示を求め、企業に相談相手選びの材料として活用するよう促す。

 事業が承継されなければ、雇用は途切れ、製品やサービスは失われる。社会全体の問題だ。金融に限らず、税理士や弁護士ら「士業」、商工団体、公的機関も支援を強化している。

 閉店の張り紙を前に、新聞は何ができるだろうと自問する。

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