日々小論

  • 印刷

 「英国王のスピーチ」という映画がある。2011年のアカデミー賞で、作品賞など4部門を制した。英国王とは、現在のエリザベス英女王の父、ジョージ6世のこと。幼いころからの吃音(きつおん)とどう向き合ったかが作品のテーマだ。

 即位したのは、歴史の歯車が世界大戦へと回り始めたころである。国民へ向けての国王のスピーチが持つ意味は重い。専門家の指導を受けながらマイクへ向かった物語を名優たちが見事に演じている。

 米大統領選で民主党のバイデン氏が当選を確実にした。笑顔でのスピーチを聞くうち、英国王の話と重なった。

 人となりを紹介する新聞、テレビの報道で何度か見聞きしたのは、バイデン氏が吃音で苦労してきたということだ。何とか克服しようと、鏡の前で詩を音読し続けたという。

 本紙に載ったこんな記事が印象深い。

 ある討論会で、同じ悩みの子どもを持つ親から助言を求められたバイデン氏は、鏡の前で工夫した経験を熱く語った。そして「私個人の電話番号を教えるから連絡させて」と言ったそうだ。忘れられない日々を思えば、聞き流すことができなかったのだろう。

 自身の体験を踏まえたライター近藤雄生(ゆうき)さんの著書「吃音 伝えられないもどかしさ」によれば、どの国にもうまく言葉が出ない人はいる。いろんなデータを見れば、日本ではざっと100万人という。

 バイデン氏の笑顔が、吃音への正しい理解につながればいい。100万人の背に添える温かい手になればいい。

 少年時代、言葉が滑らかに出ない悩みを抱えていた1人として、そう願う。

日々小論の最新
もっと見る

天気(1月27日)

  • 15℃
  • ---℃
  • 10%

  • 13℃
  • ---℃
  • 20%

  • 15℃
  • ---℃
  • 10%

  • 15℃
  • ---℃
  • 10%

お知らせ