日々小論

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 今年は講談社の旅行雑誌「TRANSIT(トランジット)」をよく繰っている。今は旅に出られないので、豊富な写真やイラストの助けを借りて、空想旅行を楽しむ。

 毎回、ひねりの利いた特集が組まれ、旅心と好奇心を刺激する。少し前に買い求めた号の表紙には「美しき古代文明への旅」とあった。そばに、「文明はなぜ崩壊する?」の文字。

 文明滅亡の引き金として、六つの要因があるそうだ。(1)森林減少(2)干ばつ・氾濫(3)被侵略(4)内部反乱(5)人口過剰(6)感染症-。読みながら、最近のニュースに登場するキーワードがいくつも頭に浮かぶ。地球温暖化、気候変動、領海侵犯、分断と対立、そして新型コロナ。

 特集記事は説く。「多くの場合、文明の発展それ自体が作り出す問題によって滅亡に近づいていくようだ」。これは本当に旅の雑誌なのか。

 そういえば、先日、新型コロナで都市封鎖が広がるフランスからメールが届いた。現地で家族と暮らす長女からだった。

 国連でコロナウイルスを「チャイナウイルス」と言ったのは米大統領だが、ヨーロッパでもアジア人差別が広がり、日本大使館が外出を控えるよう呼び掛けているという。ネットは「アジア人狩りをしよう」の書き込みで盛り上がっている。

 日本でも「外国人クラスター(感染者集団)」という言葉が独り歩きしている。感染症対策分科会の外国人コミュニティー支援の呼び掛けが、外国人への警戒感とともに、ひずんだ形で広がりつつある。

 おかしいぞ、危ないぞ。

 空想旅行と遠く離れた長女とのやりとりを楽しむはずが、気がつけば、文明崩壊の危機を覚える事態に陥っている。

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