日々小論

  • 印刷

 ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所の科学者スバンテ・ペーボさんは、数万年前に絶滅した旧人ネアンデルタール人の研究で新たな地平を開いた人である。

 約35年前にエジプトのミイラからDNAを取り出して以来、古い生物遺骸からのDNA抽出や分析に情熱を傾けてきた。アルプスで発見された氷漬けのミイラ「アイスマン」のDNA解析にも成功している。

 人々を驚かせたのが10年前、ネアンデルタール人の骨片からゲノム(全遺伝情報)を解読し、私たち現生人類(ホモ・サピエンス)との交雑を証明して定説を覆したことだ。

 そのペーボさんらが先ごろ発表した学説が、世界の注目を集めている。新型コロナウイルスによる重症化に、ネアンデルタール人由来の遺伝子が関連している可能性を指摘する。

 この遺伝子を持つ人の割合が、地域によって異なっているという。欧州で16%、南アジアでは50%に上るのに対し、東アジアにはほとんどいない。新型コロナによる感染者や死者を巡る実際のデータと一致する部分も多く、興味をそそられる。

 よく知られるように東アジアでの死亡率は世界的に見ても低く、原因を探る研究も進んでいる。ペーボさんの学説も候補の一つに加わったというわけだ。

 ほかにも、マスクの普及や肥満の少なさ、BCGワクチンの効果、過去のウイルス感染の影響などさまざまな説が挙がっている。

 しかし、いずれも決定的とは言えず、原因判明にまでは至っていない。

 日本には現在「第3波」が押し寄せ、感染拡大の勢いが増している。さらなる研究成果の発表にも期待したい。

日々小論の最新
もっと見る

天気(2月26日)

  • 7℃
  • 5℃
  • 60%

  • 9℃
  • 1℃
  • 50%

  • 8℃
  • 5℃
  • 70%

  • 10℃
  • 5℃
  • 60%

お知らせ