日々小論

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 手元の小冊子を繰ってみる。英国人らしい立ち居振る舞いを外国人に紹介する本で、楽しいイラストが満載されている。

 例えば、こんなページ。

 船が沈没し、カップルが板につかまって漂流している。島影は見えず、サメの背びれが2人に迫る。絶望的な状況だが男性の表情はいたってお気楽だ。

 「だって雨はやんだし、サンドイッチはまだ食べられる」

 苦境の中でも明るい面を重視するのが「英国流」とある。自嘲気味の笑いを誘うイラストだが、「これが私たちの生き方」と胸を張る気分も伝わる。

 確かに、何ごとも前向きに考える心構えは大切だ。

 ただし人の心には落とし穴があることも忘れてはならない。物事をゆがんで捉える「バイアス」と呼ばれる心理である。

 人は関心のある情報を探し求める。その結果、見方が偏るのが認知バイアス。自分に合った情報ばかり集めるのが確証バイアス。気に入らない情報を軽視したり無視したりするようになれば、かなり重症といえる。

 先のイラストに重ねれば、「サメが来る」と女性が叫んでも男性は耳を貸さず、サンドイッチをぱくつく展開だろう。見たいものだけを見る心理は、やがてより深刻な事態を招く。

 新型コロナについてもさまざまな言説が飛び交っている。重症者が少ない段階では「インフルエンザのようなもの」と軽視する声を聞いた。活発な移動が感染症を広げるのは常識だが、専門家が「Go To」の影響を指摘しても、菅首相ら政権幹部はすんなりと認めない。

 今も感染者は増え続け、医療崩壊の危機が迫る。現実と向き合って早く手を打ってほしい。バイアスにとらわれているのなら、一刻も早く抜け出して。

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