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 神戸市立神港橘(しんこうたちばな)高校(神戸市兵庫区)は、2016年春に神港高校と兵庫商業高校が統合・再編して生まれた。今年11月、文化祭に招かれ、茶華道部の茶会に参加した。

 会場には古い写真が何枚か展示されていた。広大な日本庭園やお屋敷を背景に、大勢の女子学生が緊張した表情で写っている。皆、はかま姿だ。「鈴木本邸で開かれた園遊会の記念」などと説明が添えられ、1917(大正6)年から2年ほどの間に撮影されたようだ。

 前身の神港高校は野球の古豪としても知られるが、歴史をさらにさかのぼると、大正6年に開校した市立女子商業学校が源流の一つにある。「女商(じょしょう)」と呼ばれた同校は、鈴木よねの肝いりだった。

 神戸を拠点に明治から大正にかけて隆盛を極めた総合商社「鈴木商店」の女主人。働く女性が蔑視された時代に、女子の職業教育を重視し、多額の寄付をした。毎年、須磨の大邸宅に全校生を招き、模擬店などを開いて歓待していた。

 文化祭で飾られていた写真は、そのときのものだった。最近になってよねの子孫宅で見つかり、高校に寄贈された。100年前の先輩たちの写真が見守る中、女子生徒たちがお点前を披露した。

 鈴木商店は昭和2年に破綻したが、神戸製鋼所や帝人、双日などゆかりの企業は今も数多く健在だ。神港橘高校は鈴木商店との歴史的なつながりを教育に生かそうと模索を始めた。

 「わが国の女子も行く行くは、広き大切なる舞台に立ち働くやうになり来たらんこと火を見るより明らかなり」と若い世代に期待していたよねは、世紀を超えた生徒たちとの縁を喜んでいるに違いない。

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