日々小論

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 福島県の富岡町にある東京電力廃炉資料館を訪ねた。福島第1原子力発電所から南に10キロほどの場所にあり、改装前は旧エネルギー館として原子力発電をPRしていた。2018年11月にオープンし、約2年間の来館者数は6万7千人。年間目標だった2万人を大きく超えている。将来、技術者として廃炉作業に携わりたいと考える若者も来ると聞いた。

 入り口のゾーンは照明を抑え、厳かな雰囲気。東電の社長名で記されたパネルには「事前の備えによって防ぐべき事故を防ぐことができませんでした」とあり、「記憶と記録・反省と教訓」のゾーンへと続いていく。ここでは、津波に対する認識が欠けていたこと、電源喪失などの非常時の備えが不十分だったことを教訓として伝える。案内に沿って進む間、何度も「反省」という表現に向き合う。何となく許しを請われているような感覚になる。

 次のゾーン「廃炉現場の姿」は、燃料の取りだし作業や汚染水処理の現状を紹介している。原発構内や原子炉建屋内でどんな作業が行われているのかが、模型やCGを使って説明されている。廃炉のプロセスへの理解は進んだが、作業の一つ一つに対し、黙って承認するよう求めてくるようでもあった。

 資料館のある富岡町には約1万6千人が住んでいたが、事故後、戻ったのは1割にすぎない。草に覆われたままの建物が朽ちようとしている。あちこちに設置された放射線量のモニター。道路を走るのは、多くが大型トラックなどの工事車両だ。

 見学を通して「東電の見せたいもの」を見せられたと感じた廃炉資料館。一歩外に出ると、厳しい現実と向き合う福島の今が迫ってきた。

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