日々小論

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 FMラジオでギルバート・オサリバンの「クリスマス・ソング」が流れていた。アイルランド出身で、「アローン・アゲイン」のヒットで知られる、日本でもおなじみの歌手だ。

 クリスマスを歌ったこの曲は1974年の発表で、当初は「オサリヴァンと愛のクリスマス」の邦題だった。親しみやすいメロディーに哀愁が漂う。例年よりも心に染みるのは、邦題とは真逆の強いメッセージが切実に感じられるからだろう。

 冒頭から「僕はホワイトクリスマスなんか夢見ない」と繰り返す。そしてこう歌う。「僕が一日中夢見ているのは世界が平和であることだ」と。

 「メリークリスマス」の言葉も、新年のお祝いも、贈る相手は恐怖におびえて暮らす「あなた」。そして「あなたの求める平和がすぐに戻ってきますように」と願いをささげる。

 ビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」はこの季節の定番。でもオサリバンの歌は「そんな甘い感傷に浸っている場合なのか」と迫ってくる。

 ベトナム戦争が続く中で世に出たこの歌が、コロナ禍に見舞われた今の世相と重なり合う。ラジオで流した番組スタッフの気持ちが分かる気がする。

 私たちが思いを届けるべき「あなた」は、命を救うために奮闘する医療従事者や患者と家族、社会を維持する現場で働く人々、祖父母を案じながら会うことを控えている若者…。

 感染拡大の中で誰もがそれぞれに歯を食いしばる、この冬。心を一つにして乗り切ろうとのエールにも聞こえてくる。

 聖夜の感慨は世界が平安であればこそ。庶民の不安をよそに夜の会食や忘年会に励む政治家には、安全を担う責任の重さをかみしめてほしいのだが。

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