日々小論

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 昨年の暮れ、1冊の本が届いた。タイトルは「心の華3」。兵庫県内の6人を含む46人の市民が、1人1万円を負担し刊行した。内容は家族や仕事、趣味など多種多様で、コロナ禍が一向に収まらない年の瀬、夢中になって読んだ。

 この「みんなで自費出版プロジェクト」を主宰するのは、元日本経済新聞デスクの坪田知己さん。定年後に始めた文章講座の受講生は2千人を超す。執筆者の大半は同講座の受講生で、上達した文章力を発表する場として参加している。

 坪田さんが自費出版プロジェクトを始めた動機は「この人が生きた証しを本にして残したい」だった。文章講座の課題作文に素晴らしい文章を寄せてくる受講生が何人もいたという。

 文章を書くのが好きな人にとって、本の出版は「夢」だ。ただ出版社のハードルは高く、著者が負担する自費出版なら引き受けてくれるとして、新車1台を買うぐらいの覚悟がいる。

 ならば、みんなで出そう-。約2千字の文章と写真3枚を送る。参加費1万円で10冊を受け取れる。予算は約50万円。編集や事務作業は坪田さんが無償で担う。600~800部を刷り、1部1540円で販売。1人で50部買う参加者がいるなど、過去の2巻は完売したという。

 一人一人の思いを生かしながら文章を整えるのは容易ではない。それでも、坪田さんは「1人でも多くの人の『心の中にある華』を記録として残していきたい」と願う。インターネットで誰もが発信できる時代だが、「本」という形にする達成感はまた格別。坪田さんはノウハウを多くの人に伝えたいという。

 本の内容はもちろん、出版を身近に感じさせる「挑戦」に、心からのエールを送りたい。

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