日々小論

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 緊急事態宣言前の昨年末、JR三ノ宮駅を歩いているとにぎやかなライブ演奏が聞こえてきた。ターミナルビル解体後の跡地にできた広場からだ。

 仮設ステージに、酒や料理の屋台。間隔を空けてテーブルも並ぶ。屋外の吹きっさらしなので感染対策もばっちり。日も高いのにひとり熱かんとおでんで、演奏に聞き入る。

 横にはビルに隠れていたポートライナー三宮駅のコンクリートの壁面が、まるで震災後のがれきのようにそびえ立つ。

 26年前も、大震災のがれきが残る街に屋台村ができ始めた。歌や楽器の生演奏もあった。杯を重ね、このままでも十分に楽しいと思ったものだった。

 いま三宮の真ん中にこんな場所があるのも楽しくていい。だが本来は、次の駅ビルが建つ予定だった。三宮再整備の主軸と期待されたが、コロナ禍で計画延期となり、暫定的にイベント会場として使っているにすぎない。ウイルスが、街の将来にも影を落としている。

 故・陳舜臣さんが被災直後の弊紙に寄稿した「神戸よ」に、こんな一文がある。

 「新しい神戸は、一部の人が夢みた神戸ではないかもしれない。しかし、もっとかがやかしいまちであるはずだ。人間らしい、あたたかみのあるまち」

 四半世紀を過ぎてコロナ禍に社会がすくむ中、神戸は、多くの被災地は、陳さんが夢みたまちへと歩めているだろうか。

 振り返ると駅前の神戸阪急の白い建物に、開店1周年の懸垂幕がかかっていた。書家・金沢翔子さんが揮毫(きごう)した、26年前にいくたびも聞いたあの言葉だった。力強い書体は、もう一度この街の奮起を促しているようにも見えた。

 「がんばろう 神戸」

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