日々小論

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 「二度と戻らない次男とのかけがえのない時間を奪われた」

 明石市の児童相談所が虐待を疑ったため、一時保護した乳児と1年3カ月間、引き離された母親の悲痛な叫びだ。

 この問題を受けて市は第三者委員会を設置。一時保護の妥当性などを外部の目で点検する制度作りに取り組んでいる。その2回目の会合で、両親が当時の心境を述べた。児相の対応については「担当者から何も明かされず、今も恐怖と憎悪しかない」と不信感もあらわにした。

 親子が離れ離れに暮らした時期は、乳児が親への愛着を形成する大事な時期。「自宅に戻った次男がパパ、ママと呼んでくれるまで、3カ月もかかった。今後も影響が出るのでは」と母親。再び一緒に暮らせる幸せは常に不安と隣り合わせだ。

 両親を取材した時、テーブルを囲む両親のひざに乗りたがる次男が愛くるしく、その分、余計に痛々しく思えた。

 一方、虐待で幼い子どもが命を落とす事件は絶えない。特に0歳児が死亡する割合は全年齢の中で最も高く、児相関係者は「1パーセントでも虐待の疑いがあれば、解消できるまで子どもは帰せない」と話す。ただ、児相も人手不足などで疑いをすべて解消することは不可能という。

 国が一時保護をためらわないよう求める中、虐待を否定する親と児相との対立が増えている。どちらも「子どもを守りたい」との思いは同じはず。争いのしわ寄せは必ず子どもにくる。

 「二度と同じ思いをする人が現れないでほしい」。大事な時間を奪われた両親の訴えに応えるには「社会全体で子どもを守る」との認識を共有し、無用な争いを生まない仕組みにつなぐことが必要だ。

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