日々小論

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 映画に興味を持ち始めた中学時代、楽しみにしていた洋画の前売り券を手に、友達と映画館に行った。すると、その上映は前日に終わっていた。

 がっかりした様子を見かねたのだろう。窓口の奥にいた男性が、併設する名画座でかけている昔の邦画を見てもいいよと誘ってくれた。知らない映画だったので断ったが、「そう言わずに見ておきなさい」と半分無理やり招き入れられた。

 仕方なく見始めると、モノクロの画面に引き込まれた。見事な演出の緊迫した物語。黒澤明の「天国と地獄」だった。

 その後、あちこちの名画座に行くようになった。安価の2本立てがありがたかった。

 若い映画ファンに欠かせなかった名画座も近年、随分減ってしまった。だが兵庫県内には頑張っているところがある。

 そんな映画館の一つ、神戸市兵庫区のパルシネマしんこうえんが、この1月で50周年を迎えた。記念上映として、1日から「男はつらいよ」の「純情篇」と「奮闘篇」を並べた。

 この館は映写室の見学ができる。寅さんでは昔ながらのフィルムが回る様子を見せてもらった。28日からは、やはり記念の「小さな恋のメロディ」と「ロバと王女」。記念の4本は開館した1971年の公開作。

 こうした映画の選定が腕の見せどころだ。昨年春、コロナ禍で1カ月半の休館をした後は元気が出る作品にした。秋には66年の「男と女」と、同じ監督・キャストで話題になった昨年公開の続編を組み合わせた。

 3代目支配人の小山岳志さんは30代。「一度来ていただければ、気に入ってもらえる自信はあります」と頼もしい。名画座に興味がない若い人も「そう言わずに」と引き込んでほしい。

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